DATA . 2023.9.7
スキンケアブランド「Aesop」に学ぶ、唯一無二の顧客体験

ICHIMURA
こないだ久しぶりにAesop(イソップ)のお店に行ったのですが
お店へ行くたびに以下のような素晴らしい体験ができます。
■ 店内には程よい緊張感があってなんだか背筋が伸びる(だからお店に行く時は身なりをきちんと整える笑)
■ 商品を手に取ったときの高揚感、テンションが上がる
■ 店員さんとお話ししているうちに、お目当ての商品以外も必ず買ってしまう
■ 店外に並んでいる時間も全く苦でなく、むしろ待っている時間に期待値が高まる
そんなAesopは、デザインを通して顧客体験を生み出していると言われています。
デザインの裏側にはどういったこだわりや独自性があるのか気になったのでリサーチしてみました◎
以下にAesopのデザインにおける独自性を3つ挙げてみます。
ちなみにAesopとはこんなブランド↓
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1987年にオーストラリアのメルボルンで設立されたスキンケアブランド。
現在では世界20以上の市場に200を超える直営店を出店。
日本では2010年に青山に第1号店を出店。
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1. 気持ちがいいほど統一されたデザイン
Aesopの店舗に行くと、どのアイテムを見てもラベルやボトルなどのデザインに一貫性があります。ラベルには成分表記や使用方法が英語でびっしり。
創業者曰く、
「人々は購入を検討している製品について、機能や効能についての明快な説明や、ボトルの中身、そしてその使い方を知りたがっている」
という信念のもと、ラベルには視覚的な明瞭さと美しさを兼ね備え、揺るぎない事実(成分表や規定の使用法)を伝えているそう。
文字要素がびっしりと詰まっていると窮屈なデザインになりがちですが、
Aesopの場合は緻密に計算された行間・余白・文字のレイアウトによって、どこか抜け感のある上質で洗練された
デザインで統一されています。
2. デザインのキーワードは「侘び寂び(わびさび)」
Aesopのデザインには日本の美意識と近い部分があり、その中でも「侘び寂び(簡単に略すと、不完全、無常、不完全)」という要素が
デザインにおける一つの重要なキーワードとなっているそう。
例えば、Aesopの定番アイテムのハンドクリーム。
このチューブにも、不完全で使い込まれた美しさといった「侘び寂び」の価値観が落とし込まれているそうです。
使うたびにチューブをキュッと絞るとパッケージがしわくちゃになるのですが
形状が変容していくたびに生活の一部に徐々に溶け込んでいくような感覚を味わえる、
そういったデザインを通した体験はAesopならでは独自性なのではないかと思います。

3. 街ごとの特性を採り込んだ店舗デザイン
店舗デザインでは「街の特性を表現すること」を最も大切にしているそう。店舗によってはコンクリートを基調にしていたり、木の素材をたっぷりと使っていたり。
異なる素材を使っているのになぜかAesopのどの店舗も共通した世界観を味わえます。
ちなみにAesopのホームページにも店舗デザインについて
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世界中にあるイソップの店舗は、各地域の素材やコンセプトからインスピレーションを得て作られており、
地域に根付くデザインの特色とイソップの一貫したデザインを融合させることを目標としています
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と書いています。
例えば・・
■ Aesop東京(中目黒):
すぐそばに流れる目黒川と、日本家屋の持つ素朴なおもてなしの心にインスピレーションを受け、洗練された家屋をイメージした店舗デザインに。
■ Aesop Newman横浜:
横浜という立地から、海、赤レンガなどいくつかのイメージを検討し、藍染を用いて海の青を表現た店舗デザインに。

https://jp.idreit.com/article/aesop-newoman-yokohama-by-torafu-architects
ホームページに書いてある
「地域に根付くデザインの特色とイソップの一貫したデザインを融合させること」
→これは塩梅がめちゃくちゃ難しいのでは..と思います。
地域に根付くデザインの特色を強調しすぎると、Aesopの世界観に没入しきれないし
はたまたAesopの一環したデザインを強調しすぎると、店舗ごとの色がでない。
ところがAesopはこの塩梅が抜群で、店舗ごとに独自の色(特色)もあるし、統一された世界観があります。
その秘密は、店舗ごとに街の特性に合った異なる素材を取り入れつつ、
置く商品はどの店舗も同じで、商品の置き方にも細かいルールが定められているから。
なるほどなるほど。
Aesopの店舗に行った時の程よい緊張感、
商品を手に取ったときの高揚感、
商品を使い込むたびに感じる安心感 などなど
デザインを通して感じられるAesopならでは体験は、
「ブランドの価値観の徹底的な定義付け」と
「その価値観をビジュアルに落とし込む際の緻密なルール付け」の2つが合わさることで
生み出されているものなのではないかなと思いました。
ブランド価値観が定義されていなければ独自の世界観は生まれないし、
価値観をビジュアルに落とし込む際の緻密なルールがなければ
せっかく生み出された独自の世界観がユーザーに伝わらない。
Pocketでは価値観の定義づけから一貫したビジュアルへの落とし込みを得意としています。
ブランディングにご興味がある方はお気軽にご相談くださいませ^^
それではまた!